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測定シーン別オシロスコープ活用術 第1回「電源回路の基本測定(リップル/過渡応答)」
- 2025/6/15 -

測定シーン別オシロスコープ活用術 第1回「電源回路の基本測定(リップル/過渡応答)」

オシロスコープを使った電源回路の測定は、電子機器の安定動作に直結する重要な工程です。特に出力電圧のリップルや負荷変動に対する過渡応答の確認は、設計評価や不具合解析に欠かせません。今回はその基本的な測定手順とポイントを紹介します。

リップル電圧の測定ポイント

■ リップルとは、電源出力に重畳する周期的なノイズ成分のこと(特にスイッチング電源に顕著)
■ ACカップリングで測定し、DC成分を除去してリップルのみ観測する
■ 垂直感度をmVレベルに設定し、周波数帯域を必要に応じて制限(例:20MHz帯域制限)
■ グラウンドループを避けるため、グラウンドリードではなくプローブ先端に同軸接続部品を使用する

過渡応答(トランジェント応答)の確認方法

■ 負荷が急変した際の電圧の変化(ドロップやオーバーシュート)を確認
■ 電子負荷装置やパルス負荷を用いて、意図的に負荷を変化させる
■ トリガーをパルス信号に設定し、負荷変動のタイミングで安定して捕捉
■ オシロスコープの高サンプルレートとロングメモリを活用して、詳細な過渡応答を波形全体で観察

測定上の注意点

■ プローブの帯域や接続方法によってはリップルが過小評価されるため、できれば高周波用パッシブまたはアクティブプローブを使用する
■ 電源回路の出力インピーダンスや負荷の特性によって応答波形が変わるため、条件を一定にして測定する
■ 必要に応じて複数チャネルで入力・出力・負荷電流を同時に観測し、因果関係を把握する

まとめ

電源の安定性はリップルと過渡応答で決まるといっても過言ではありません。オシロスコープを活用することで、これらの信号の変化を直感的に可視化でき、トラブルの早期発見や品質向上につながります。次回は「センサー出力の確認(温度/加速度)」について解説します。


測定シーン別オシロスコープ活用術(全8回)

対象読者:オシロを使ったことがある中級者向け

■ 第1回:電源回路の基本測定(リップル/過渡応答)
■ 第2回:センサー出力の確認(温度/加速度)
■ 第3回:PWM信号のデューティ比確認
■ 第4回:アナログ vs デジタル信号の測定方法の違い
■ 第5回:マイコンI/Oの応答チェック
■ 第6回:オーディオ波形の確認とひずみの可視化
■ 第7回:FFTを使ったノイズ源の分析
■ 第8回:複数チャネルの同時測定と相関分析

 

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