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失敗しないオシロスコープ操作術 第6回「測定値が信用できないときに見直すポイント」
- 2025/6/15 -

失敗しないオシロスコープ操作術 第6回「測定値が信用できないときに見直すポイント」

オシロスコープで測定した値が他の機器と合わない、計算結果がおかしいと感じたときは、表示そのものではなく測定条件に問題がある可能性があります。ここでは、測定値の信頼性に影響を与えるポイントを整理し、再確認すべき設定を解説します。

プローブの設定と補正を確認する

■ 使用しているプローブの減衰比と本体側の設定が一致しているか確認する
■ 例えば10:1プローブを使っているのに、オシロ側が1:1設定だと電圧表示は10倍ズレる
■ プローブ補正(キャリブレーション)が未実施だと波形が歪み、測定値が正しくならない

スケーリングとスケールオフセットの影響を把握する

■ 垂直軸スケール(V/div)が適切でないと、信号の上下が切れて正しく表示されない
■ DCオフセットがかかっている場合、電圧の基準がズレる
■ ACカップリングにしていると、DC成分が除去され、平均電圧がゼロになる点に注意

測定モードと対象信号の適合性を確認する

■ 自動測定機能(周期、振幅など)が正しい部分を対象にしているか確認する
■ ノイズが多い信号やパルス信号の場合、ピーク検出がうまく働かないことがある
■ 平均化モードにしていると、瞬間的な変動が見えなくなるため、適宜「ノーマル表示」に切り替える

時間軸とメモリ設定による影響をチェックする

■ サンプリングポイントが不足していると、ピークや細かい波形が見落とされる
■ 波形の全体を観測できているか、またはズームしすぎて一部しか見えていないかを確認する
■ メモリ長が短すぎて、測定したいイベントが記録できていない場合もある

信号源そのものやグランドの状態にも注意

■ 測定対象の信号源が安定しているかを確認する
■ オシロスコープと信号源でグランドが共有されていないと、基準電位がズレて誤測定につながる
■ 他の機器と並列で測定している場合、信号ラインに影響を与えることがある

まとめ

測定値に疑問を感じたときは、プローブ設定、スケーリング、測定モード、時間軸の4点を重点的に見直すことが重要です。表示されている数値だけでなく、どうやってその値が得られているのかを理解することが、正確な観測への第一歩となります。次回は「保存・エクスポート・PC転送トラブルの対処法」について解説します。


■対象読者:使い始めたばかりの技術者/トラブルが多い初心者

■ 第1回:波形が表示されないときのチェックリスト
■ 第2回:プローブの誤接続で起こる問題と対処法
■ 第3回:トリガーが安定しない原因と解決策
■ 第4回:ノイズだらけの波形を改善する方法
■ 第5回:信号が途中で切れている?帯域幅とメモリの落とし穴
■ 第6回:測定値が信用できないときに見直すポイント
■ 第7回:保存・エクスポート・PC転送トラブルの対処法

 

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