失敗しないオシロスコープ操作術 第4回「ノイズだらけの波形を改善する方法」
波形にノイズが多く含まれていると、正確な信号観測が困難になります。特に微小信号やアナログ回路の測定では、ノイズの影響が顕著に表れます。ここでは、ノイズの原因を特定し、実用的な対処法を紹介します。
接続・設置によるノイズの抑制
■ プローブのグランドリードを短く保ち、グランドループを避ける
■ プローブは高周波測定時にはグランドスプリングなど低インダクタンスな接続を活用する
■ 信号線や機器の近くにノイズ源(電源ケーブルやモーターなど)がないかを確認する
■ オシロスコープと測定対象の間で、確実にGNDが共通であることを確認する
オシロスコープ本体の設定によるノイズ低減
■ 「平均化」モード(Average)を有効にすることで、ランダムなノイズを除去できる
■ バンド幅制限(例えば20MHz帯域制限)を有効にし、高周波ノイズをカットする
■ トリガーモードを「Noise Reject」や「HF Reject」に設定できる機種では、それらを試す
■ 垂直スケール(V/div)を細かくしすぎるとノイズが目立つことがあるため、適切なレンジに調整する
信号の性質を見極めた観測手法
■ 繰り返し性のある信号であれば、トリガーを適切にかけて平均波形を得る
■ 周期が一定でない信号では、Persistence表示やヒストグラム表示を利用して信号のばらつきを観察する
■ FFT機能を活用して、ノイズの周波数帯を特定し、外部対策や設計改善につなげる
測定環境を見直す
■ 測定中の周囲に無線機器や高周波発生源がある場合、それらを停止・離す
■ オシロスコープ本体が適切に接地されているか確認する
■ ACラインからのノイズ混入を避けるため、別回路やアイソレータを介して測定することも一案
まとめ
波形がノイズだらけに見えるとき、原因は必ずしも信号そのものにあるとは限りません。接続・本体設定・測定環境の3方向から見直すことで、多くのノイズは軽減または除去できます。次回は「信号が途中で切れている?帯域幅とメモリの落とし穴」について解説します。
■対象読者:使い始めたばかりの技術者/トラブルが多い初心者
■ 第1回:波形が表示されないときのチェックリスト
■ 第2回:プローブの誤接続で起こる問題と対処法
■ 第3回:トリガーが安定しない原因と解決策
■ 第4回:ノイズだらけの波形を改善する方法
■ 第5回:信号が途中で切れている?帯域幅とメモリの落とし穴
■ 第6回:測定値が信用できないときに見直すポイント
■ 第7回:保存・エクスポート・PC転送トラブルの対処法
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